自分の感性を信じて良いと思ったものを撮れ!
今週のお題「部活動」
こんちわ、おいさんだよ。
みんな元気にしてるかい?
今週のお題が「部活動」ってんで、わしも昔の部活について語ってみようかね。
高校、天国のような部活動で
小学や中学時代の部活のことはあまり話したくない。
なぜならしょーもない部活時代だったことはここで過去に何回か書いたからだ。
高校に入るとそれまでの強制的な部活動はやんわりと影を潜めたが、それでも何かしらの部活につかなければいけない学校だったので、ヒマを持て余していたわしは写真部に入ることにした。
ナゼ写真部だったか?というと、わしの仲良くしていた先生にそこはかとなく誘われたのをきっかけにわしは写真を撮ることに決めた。
ただなんでも良いからカメラをもってこいと言われ、基本使い捨てカメラ(写ルンです)などで記念写真は済ませてしまうわしは、家の中をひっくり返してなんとか使えるカメラを確保した。
フィルムは顧問が用意してくれた白黒のものを使った。
その時わしは始めて白黒写真を撮ったのだが、やってみるとこれが意外とおもしろいw
カラーは現像が難しいからと顧問は主に白黒写真を撮ることを推奨し、そうした写真一本でいくことが写真部の決まりになったのだが、白黒写真の面白さはその現像の行程にある。
はじめて学校の暗室を訪れて(そんなもんあったんだw)顧問の指導のもとに白黒写真を薬品につけてネガを取り出して専用の機械にセットし、それを顕微鏡みたいなやつで見てピントを合わせ、写真用紙に数秒間光を当てて焼き付けた後に二種類の薬品にサッとつけて水で洗い流す。
そんな地道な行程をしながら、自分が撮った写真がどんな風になるのかをワクワクしながら現像していると、それまで経験したことのない楽しさを部活動に感じることができた。
それまでわしがやってきた部活といえばほとんどが体育会系だった。
運動神経も良くないのにスポーツをさせられるのはわしにとって非常にツラかった。
わしの中学校は生徒が少なすぎて文化系の部活ができるほど大きな学校ではなかったのだ。
それが高校に来て始めて新しい世界が開けた気がした。
生まれて始めて顧問に怒鳴られることなくできる文化系の部活動は、運動が嫌いなわしにとって天国のようなものだった。
大学、幻滅した部活動
そして味を占めたわしは大学に入るとまたしても写真部に入ることにした。
だが正直、大学の部活動はがっかりだった。
御存知の通り大学の部活は強制ではないから、入るも入らないも本人の自由だ。
入ってみると案の定、写真部には大勢の芸術学部の学生たちばかりで、農学部からはわしと別のクラスの女子が1人しかいなかった。
そんなかんじだからなんとなくその部活動には馴染めずに、我慢しながらも夏の合宿でみんなと尾瀬に行ったりしてなんとか馴染もうとしたのだが、ダメだった。
そして決定的になったのは文化祭の時だ。
写真部では毎年好例の写真展をすることになった。
教室の一つを借りて写真部の面々が思い思いの写真を飾る。
周りはポジフィルムを使った一眼レフで撮った写真を、ヨドバシカメラで大きく引き伸ばしたでっかいパネルの奴を何枚も飾っていた。
そんな中、わしは1人だけ尾瀬に行った時の美しい風景をデジカメの一眼レフで撮影し、カラーの写真をプリンターでA4サイズに引き伸ばしたものを展示した。
周りの芸術学部の人達が撮っている写真も様々だった。
ただどれもよく見てみてもよくわからない。
なんのために撮っている写真かまったくわからないものがたくさんあった。
せっかく合宿で尾瀬に行ったのに尾瀬の写真なんか一枚もない!
女の人が二人(芸術学部の人たちだ)厚化粧をして白樺の木立の中で見つめ合ってお互いのからだを抱き合っている写真や、どこなのかよくわからない街の廃墟をピンぼけ気味で撮る人など、彼らが芸術だと思っている芸術風の写真はどれもみてつまらなかった。
これは一体なんだろう?
何のためにこんな写真を撮るんだろう?
彼らの写真には彼らの思想のようなものがあるのだろうが、素人のわしには見てみてもよくわからなかった。
だが内心、こんなデカイものを飾られるようじゃわしの写真はは鼻から勝ち目はない。
こんなことなら写真なんか展示するんじゃなかった。
わしは1人、写真展に写真を出したことに後悔した。
決別、そして…
そして、文化祭当日。
2日に渡って催されるお祭りを家で昼寝しながら過ごしたわしは、とりあえず一度くらいは顔をだしておくかな?と思ってだるい足取りを引きずりつつ、写真展の教室へ向かった。
すると、入っるなり他の部員たちが
「おいさんの写真スゴイよ!集まってくれたお客さんたちのほとんどが、アンケートでおいさんの写真を褒めてるよ!」と言ってくれた。
まさか!と思って差し出されたアンケートを見てみると、300枚近くあるアンケートの約半分がわしの写真について褒めていた。
わしはそれを見て、半ば信じられないという気持ちと嬉しさと共にやる気を失った。
お客さんは純粋にわしの撮った尾瀬の美しい風景を素晴らしいと評価してくれた。
写真が小さかったことなんかまったく関係なく褒めてくれた。
それに比べて周りの芸術学部の人達が撮った写真はなんだ?
芸術的観点で写真を撮ったつもりかもしれないがほとんどのお客さんはそれらの写真を評価せずに立ち去ってしまっているじゃないか。
そこでわしは写真部に見切りをつけた。
こんな集まることで満足している連中と一緒にいたってしょうがない。
やれ一眼レフだ、芸術学部だと言ったって、誰一人マトモな写真なんか撮れてないじゃないかw
本当だったらもっと早くに写真部に別れを告げた方がよかったかもしれない。
それからというもの、わしは今でも写真を取り続けている。
もちろん大層な機材もなくほとんど写真はiPadで撮っているが、一向に気にしない。
どんな機材で撮るか、とか。
どんな思想で撮るか、よりも何を撮るかが大事なのだ。
そんなわしは今でも周りにある美しい風景を写真に収めている。
自分の感性を信じて……